Google八分の問題

ここ一週間ばかり、悪徳商法マニアックスの蒙った「Google八分の刑」についての論考をよく見る。id:Yuichirouさんの2/1にある、キーワード「京都」の上昇はこれが原因なのではないかと思う。
これに対する反応はおおむね2つあって、一つはGoogleは一営利団体であり過剰な期待ができないのは当然だ、という主張、もう一つはGoogle営利団体であることは承知しているが実質ナンバーワンでオンリーワンでありながら恣意的に検索結果に介入していることはもっと知られてしかるべきだ、という主張のように思う。(はてなキーワード登録と削除に発する種々の問題は、ここから発しながらウェブの文章における責任の所在という方向にスライドしていっているのでGoogleからは外れる。http://d.hatena.ne.jp/koseki/20040201参照)本質的には二つの主張は同じことを言っている。
問題を整理すると
Google営利団体である
Google検索エンジンの中で独占的な位置にある
という2点に原因があるようだが、Googleを利用する以上、現状としては対抗しようがない。インターネットは若いメディアなので、自由な言論の場であるような雰囲気であったが、ウェブは自由で新しくともウェブを支える仕組みは伝統的な現実世界に立脚しているわけで、現実世界でのトラブルマネジメントに長けた人々が介入してくれば砂上の楼閣である。営利企業はネット上での悪評を気にするだろうからあまり無茶をしないだろう、という推測はいくつかの場合には正しいが、それらは量的な問題であって質的にはGoggleに限界があることに変わりはない。
Googleのシステム上の問題もある。ページランクという判断基準がGoogleが覇権を握った原因であるが、悪マニがもっと認知度の低いサイトだったらこの問題は生じなかったかもしれない。
Googleのシステム上の問題については、先日もふれたル・モンド・ディプロマティークに適切な論説がある。以下に一部を引用する。

 出所となる文章が見当たらないことで、こうしたイデオロギーの陣取り合戦に拍車がかかっている。そして奇妙なことに、この象徴権力、つまり特定のテーマについて自分の見方を優位に置く能力は、今なお通常の権力分配構造に収まりきらない数少ない存在の一つとなっている。支配的なイデオロギーの目立ち具合はここでは過剰であるどころか、むしろその逆なのだ。例えば、チャーター機を愛好する内務大臣の名前で検索をかけてみれば、非正規滞在者の権利を擁護する団体のサイトに導かれる。ある実業家について検索すれば、Googleは公式発表を無視して、代わりに彼が関与した金融スキャンダルの記憶をよみがえらせるかもしれない。現実として、さまざまな関係者の影響力は、主にネットをどれほどモノにしているかの度合いによる。サイトを作り上げるだけでは不十分であり、他のサイトとのリンクを張り巡らし、ネットの「実力者」から認知してもらう能力も必要なのだ。  多くの者は自分の書いた文章への認知を他意もなく享受しているが、検索エンジンの弱点を巧みに活用してのける者もいる。例えば、各種ロビー団体のために、一見するとニュース速報のような体裁の情報サイトを構築する専門の代理店が存在する。客観的な見かけを装っておけば、それだけでネット利用者が真に受けて、自分のサイトからリンクしようと考える可能性は高い。つまり、こうした情報サイトは象徴権力を付与され、以後それを享受できるようになるわけだ。

Googleにクレームをつけるというやり方は実際はあまりスマートとはいえないだろう。もっとスマートな方法をとられれば、感知できなくなるだろうが、それはつまり現実世界のあり方と同じということなのではないだろうか。

Goggle八分・追記

何がいいたいかというと、現実世界でもアンダーグラウンドな情報はあるところにはあるだろうが、きわめてアクセスが限られているのに対し、今までのネット/ウェブ/サイバースペースでは比較的容易にアンダーグラウンド情報を得ることができたが、現実世界の論理がネットを囲い込みに来つつある現状では、いずれウェブは変容(現実に収斂)せざるを得ないのではないだろうか、ということで、もしそれを回避できるオプションがあるならばなんだろうか、あるいは、現状で少しでも抵抗するならどうすればいいのだろうかという問いである。
しかし考えてみれば検索エンジンがYAHOOしかなかったころのネット初心者は四苦八苦しながらアングラに達しようともがいていたわけで、Googleの登場が既にウェブ世界を一度大洪水で破壊しており、撹乱から回復しようとしているだけなのかもしれない。
Googleが発達する前、世界はもっとすみわけられていたのではなかったろうか。

ACCSへの不正アクセス

しばらく各所で話題になっていた件、“ハッカー”の逮捕で終わったようだが、ニュース速報の記事を並べてみると興味深い

容疑者は昨年11月6〜8日、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(東京都文京区)のサイトのサーバーに不正に接続し、ネット上で同協会に相談を寄せた約1200人分の氏名や住所、相談内容などを引き出した疑い。  さらに同月8日、都内で開かれたネットの安全対策担当者やハッカーの集会で、参加者約200人に接続方法を公開し、協会にも接続したことをメールで通知した。そのうえで、サイトの一部の閉鎖を余儀なくさせ、協会の業務を妨げたとされる。

自分のパソコンから同協会のHPを管理している大阪市内のインターネット接続会社のサーバーに侵入。同協会に著作権などについて相談していた約1200人の利用者の住所や氏名などの個人情報を不正に入手した疑い。  さらに同容疑者は、同月8日に東京都内で開催されたイベントで、入手した個人情報の一部や不正侵入の方法を公開し、同協会のHPを閉鎖に追い込むなど、業務を妨害した疑い。

調べでは、容疑者は昨年11月6日〜8日の間、計7回にわたり自分のパソコンから協会のサイトに不正にアクセスし、協会に相談や情報提供した人の住所、氏名など約1200人分の個人情報データを入手。同月8日に渋谷区内で開かれたイベントでこのデータを公開したうえ、情報が漏れたことをメールで協会に知らせ、サイトの閉鎖に追い込んだ疑い。

不正アクセス禁止法と威力業務妨害の疑いで逮捕されるのだから「何が不正なアクセスにあたるか」「何が威力業務妨害に当たるか」を読者にきちんと伝えて欲しいのだが、3紙でややずれがあるような。今後の報道にも注目。穴があるサイトに穴がありますよと指摘してサイトを閉じざるを得なくなったのが威力業務妨害というのはちょっと厳しいように思うが。
しかし文化庁長官というかかの一族なのかということに一番驚いた。