芥川賞にものりおくれた

文学賞メッタ斬り! 芥川賞作品評価対談より

大森 舞城王太郎は『DEEP LOVE』や『世界の中心で、愛をさけぶ』で泣いてる女子高生にどうやったらメッセージを伝えられるのか、
たぶんちゃんと考えてる。だから、「愛は祈りだ。僕は祈る」なんだよ。文芸誌なんか知らない読者にも伝わるように、思いきり素朴に、
カメラに向かって正面から語ってる。でなきゃ、恋人を癌で亡くす話なんか書かないって。それこそオレンジレンジの歌になっても
いいくらいの強い覚悟でさ(笑)。そうはいっても完全にベタな話には徹し切れてなくて、SFのパートは舞城版『最終兵器彼女』/
『イリヤの空、UFOの夏』みたいな設定を採用して、“セカイ系”への回答を提示してたりもするんだけど、それがちゃんと
『世界の中心で、愛をさけぶ』を乗り越えるという困難なテーマに寄与している。

大森望セカイ系概念を知りたい気持ち。
セカチューといえば渡辺淳一の書評(週刊新潮かどっかで読んだ)がおもしろかった。めちゃくちゃ売れてるのに一般的な書評ではとりあげられない/文章はそれほどひどくない/通俗的だから書評の対象になりにくいけど読めばそれなりにおもしろい/映画はいまいち/柴咲を出す必然性がない、みたいなごく普通のネット書評みたいなことを、渡辺御大が週刊新潮で真面目に書いているよ!というところがおもしろかったわけだが。