関西弁

昨日のエントリを書いていて久しぶりに、ああ自分は関西地方方言使用者なのだなあと実感したことがある。それは「布団を敷く」という文句。自分にとって布団は「しく」ものではなく「ひく」ものだ。
江戸っ子が「し」と「ひ」を転倒させることはよく知られている。「あさししんぶん」「しがしの空におしさまが昇ったよ」みたいな。それにくらべて関西ではちょうど逆の事象が起こることはあんまり有名ではないようだ。「布団をひく」とか「ご、ろく、ひち、はち」とか「ひちや」とか。自分も長らく「布団を引く」と平気で使っていて、あれ?引くって漢字はちょっとおかしいか?、と思い至ったのはわりと年を取ってからだ。恥ずかしいことだがこういう日常語に紛れた方言というのはネイティブにはなかなか気がつきにくい。ただ、昨日もここに書くための文章を書いている途中、変換させるときに、おお、と気がついたのであるからして、ワープロ文化というか日本語入力方式文化は方言の破壊を推進するのだろうなあと思ったけれど、きっとそういう話はそういうところですでにありありな議論だろうから今さら浅学の身でどうこういう気はしない。関係ないけど、ATOKさんてば「思わん」とかがすらっと変換できないのにはいらつくなあ。
ただ「布団を引く」というのはなんとなく愛着のある紛れ方言なのでちょっと懐かしい思いがした。ちなみに「本棚に本をなおす」(本棚に本をしまうの意)が標準語では理解できないと知ったときもかなり衝撃的だった。きょーびの関西人としてはでんがなまんがなよりもこれらの表現のギャップのほうがコミュニケーションにとっては切実な問題である。
東京弁は感染るんです:http://homepage2.nifty.com/GANSO_hirokun/index.html
関西弁サイト。関西弁基礎講座は勉強になる。基礎講座第四講を見るに、関東在住のこの作者氏よりは自分のほうがきつい関西弁にまみれているようだ。「うろがくる」とか「いちびる」とか「せたらう」とか使ってるなあと。年寄りに育てられたからちょっと偏ったサンプルではあるのだが。しかしここのサイトのタイトルには思わず同意。関西弁は容易に標準語スピーカーにうつらないようだが、標準語(とそのイントネーション)は関西弁スピーカーにあっというまにうつる。自分もしばらく気持ち悪いイントネーションでしゃべっていた時期がある。関西弁ウザイと感じる方も多いだろうが、テレビタレント諸氏が標準語スピーカーの中で関西弁でしゃべっているのを見ると本当に驚嘆するのである。