タモリ/ヒグマ

 ネットをうろうろしていたら、「タモリは義眼」という疑惑?を初めて知った。ほぅ、と思い「タモリ 義眼」でググると見事に2chのスレがずらずらと並ぶ。単語を並べて検索しただけなので関係ないページもずいぶん混ざっているようだが(特に芸能ニュースに引っかかって、義眼はピーコというケースが多い)、151件ヒット。
 実際に義眼かどうかは別にどうでもいいが、2ch等の一部ネットコミュニティでは信憑性のある噂として流れているようでおもしろい。詳細については「子供の頃針金が刺さった、と雑誌で語っていた」「子供の頃電柱の杭にぶつかったらしい」「昔は隠していなかった。アイパッチのころは自分でそう言ってた」「障害者手帳を持っているらしい」とかいろいろ錯綜しているというか噂が噂を呼んでいるようである。
 ネットにはこのような、当該コミュニティでは隠された真実として流布しているという噂がわりとあるが、噂の内容よりもその伝わり方や広まりぶりが興味深い。またこの種の伝わり方をする事柄は否定が難しいものである。公式に否定するコメントを発しても、もともと"事情があって隠されているが"として伝わっている以上、「真実が漏れそうになったので隠蔽し始めた!」といわれては元も子もない。文字によるコミュニケーションは対面や音声にくらべて格段に情報量が少ないから、煽動しやすいだろう。イデオロギーや政治的煽動にも困るが、著名人に対する噂には気の毒と思いつつ有名税なのかなとも思う。
 ヒグマ。北海道にいるヒグマは標準和名では「エゾヒグマ」ということを知った。ヒグマは種の総称?なのか、Ursus arctos がヒグマ、その北海道亜種 Ursus arctos yesoensis がエゾヒグマということになるようだ。しかしヒグマ(羆)は日本のことばで日本にはyezoensisしか存在しないのに、Ursus arctos yesoensis をヒグマという標準和名にしなかったのはなぜなのだろう。
 などと思いつつ、ヒグマのすべてというサイトを発見。ここの「ヒグマと事件」の項がものすごい。たとえば"石狩沼田幌新事件"では

8月21日は沼田の恵比島部落で太子講祭りがあり、近くの村々から多くの見物者が集まっていた。祭りが終わり、帰途についた幌新部落の若者8人が、恵比島から4Kmほど離れた幌新小学校付近の山道に差し掛かったところ、道路脇のササヤブから突然クマが現れ、最後に1人で歩いていた少年に踊りかかった。しかし着物と帯にツメを引っかけたために、少年はこれをさき捨てて難を逃れた。この少年を見失ったクマは、先を歩いていた別の兄弟2人に追いつき、弟を一撃で撲殺、兄も重傷を負わされ、土中に埋めた。

これが冒頭。一撃ですよ一撃。このあと事件はまだつづく。ページ全体を読むとヒグマへの恐怖どころか、北海道行きたくない…という気すらしてくる。
 もちろんそのような感覚は間違いで、開拓時代に事件が多かったのはヒグマの領域に人間の開拓がオーバーラップしていったからであり、今ではどう対処すればいいかの対策も蓄積している。また自然が怖い方が当たり前で、自然が怖くない状態のほうが人間の歴史の中では短いとも言える。とはいえやっぱりヒグマすごい。