四季 夏

森博嗣講談社ノベルスISBN:4061823396
四季シリーズ2冊目。森博嗣のすべFを友人が貸してくれたのはもう6年も前の夏のことか。たしか院試が終わった開放感と相まって、その後すぐに全冊(当時の最新刊は封印であった)買い揃えて読みふけったのを覚えている。S&Mシリーズには傾倒していたが、その後vシリーズはぱらぱらとしか見ていないし、講談社以外から出ているのにはほとんど手をつけていない。自分でも何が理由かはわからない。不思議だ。たぶんウェブ日記出版第一冊目まではほぼ全買いしていたのだが、ウェブ日記があまりに出版物として気持ち悪くて一気にひいたように思う。あと当時研究について鬱屈していたので、ものすごい勢いで前進する研究者森博嗣の日々を読むのがつらかった。そういう意味では、今回の四季夏もつらい。だめだめ研究の徒としては娯楽と逃避で読んでるのにここでも研究かよしかも超有能なばかりだし、というつらさ。ジャン・フィリップ・トゥーサン「テレビジョン」を読んだときもあまりに身につまされて途中で読めなくなってしまったのを思い出した。
ところで四季シリーズはSMシリーズとvシリーズを読んでいないと面白くないだろう。これら2シリーズのボーナストラックと自分はとらえている。四季 夏はすべFと赤緑黒白とつよくつながっているがそれだけでもない。このあたりのつながりぶりはセカイ系っぽいのでは?あーセカイ系の定義ってなんなんだ。一冊の本で閉じずに次々セカイをつなげていくのは、作者の創作上の意図はともかく、現象としてはえげつない購入インセンティブである。