よい本が売れるとは限らないが売れない本がよい本ではない

噂の真相休刊号「見城徹率いる幻冬舎の先行き不透明」より、インタビューの一部を抜粋。

見城:売れたんだから別にいいじゃない。じゃあ、はっきり言うが、俺はさっきの『祇園の教訓』についてはパクリとはあまり思っていないけれど、そのふたつは確信犯的に二番煎じをやった。『常識として知っておきたい日本語』60万部と、『人生百年 私の工夫』32万部は確信犯的なパクリだよ。ただね、俺は二番煎じでもいい。資本主義の中で生きていくと決めた時、死の商人の覚悟はしたんだから。二番煎じで売れなかったらプライドが傷つくけど、会社として、利益をきっちりとっていくものは出すということですよ。俺はビジネスとして、それをよしとしてやっているわけだから。悪魔に売り渡すものは売り渡し、しかし、売り渡さないものは絶対に売り渡さない。「文芸元年」の魂は目立たないだけでちゃんとそのまま作品が残っている。

これに対してインタビュアーは「開き直りですか(笑)。」と受けているのだが、このマニフェストは立派だと思うし、たとえ開き直りであっても筋は通っていて語りとしての破綻はない。とかなんとか言うのももちろん本意なのだが、それよりなにより噂の真相は商業主義に決して背を向けているわけではないのに、人に対してはこういう風に言っちゃうんだなプププ、と思った。増刊とか別冊とかであざとく稼ぐのもそうだし、風俗広告ばんばんいれてるのもそうだし、資本主義社会にしっかり組み込まれたジャーナリズムなのに、よそにはこういう風に言うのですな。そしてまたこの種の批判はもうずーっとあらゆる角度、あらゆる論者からされているだろうに、馬耳東風、全く受け流しているところは尊敬。売文業界で面の皮が厚いのは重要なことだと思う。いい意味のずぶとさがないと。