実録!平成日本タブー大全

別冊宝島Real 実録!平成日本タブー大全 (別冊宝島Real)
内容の前に、このムックのまとめである終章は呉智英が書いているのだが、タブーに関するムック・呉のシメというあまりにゆるがざる別冊宝島イズムに少し感銘をうけた。往古の別冊宝島らしさがふんぷんとしている。別冊宝島は迷走してると思っていたけど、なかなかどうして頑張ってますね。バックナンバーチェックしたら、以前に買ったのは「立花隆の大研究」だった。ずいぶん見落としてたんだな。
さて内容はというと、創価・皇室・同和などいわゆるタブーとなっていることがらについて取り上げたムック、としかいいようがない。「実はこういうのが今タブーなのだ」というずらし系ではなくて、本当の本当にタブーなことがらに注力しているのは立派。田原総一郎民族派団体との会合とか、ベンジャミン・フルフォードの石井議員刺殺事件総括などはとても面白かった。前者では、右翼の親玉はやっぱりえらいなあという感想を抱いた。後者はゴルゴなみの陰謀うずまく話。ぞくっとする。
いまいちぴんとこなかったのは「皇室血統タブー」と銘打たれたもの。百済のなんとか王の血統が入ってるという話題は、たしかにタブーであるかもしれないけれども現代人の感覚から言うとどうでもいいことなのではないか。これを取り上げることはいいけど、「血統タブー」と仰々しくいうほどのことかなーと不満に思う。またこの話題と訪中・訪韓を軸とした記事を、在日朝鮮人のライターが書いているというのにも違和感を覚えた。誤解を招くのもなんなので詳しく述べると、この記事自体はスマートな面白い記事だ。またライターが在日朝鮮人かどうかというのもライターの名前で違和感を覚えたわけではなく、記事中に「在日朝鮮人同士で話していると〜」との一文があることへの違和感である。そのあとにつづくのは天皇の特異なライフスタイルに関して本音を聞いてみたい、という内容なのだが、それは別に在日朝鮮人ではない日本人同士で話している時にも話題になるよ、と思ったわけだ。だからこの記事の書き手のスタンスがよくわからなかった。一般市民から見る皇室の奇妙さ・タブーというスタンスなのか、朝鮮半島がからむ微妙な問題を重視したものなのかということですね。やはり「在日朝鮮人が皇室を語る」という枠組みだと独特の磁場が発生してしまうのでそこに注意してプロデュースしたほうがいいのではないか。その“磁場が発生してしまう”という感覚そのものがタブーなのかもしれないけれど。
記事自体は面白いといいながらなんでこんなにこまごま書いているかというと、今このタイミングで皇室にとってタブーなのは百済王の血統ネタではないだろうと思うから。雅子妃をめぐる親子断絶兄弟断絶とか、雅子妃父の外務省ネタとかその辺にこそにつっこんで欲しかったのだけれどなあ。個人的には皇族のいびつなあり方には同情してるし、皇室なくなってもいいのではと思うけれど、雅子妃の昨今の振る舞いには卑しいながら興味津々だ。まあでも皇室云々以前に、個人の家庭に関することだから、たとえ生活費全部公金の公人一家だとしても、つっこむのは難しいかもな。