ぱど厨

キーワードになってますよ。すげー。
かくいう自分も読冊日記のぱど厨ネタは興味を持って見守っていたので、キーワード化される気持ちもわかります。
とはいえ先日、キーワード「チャンコロ」が、隣国人への蔑称問題を含むとはいえ、あれほどもめたのに、キーワード「ぱど厨」はすんなり行ってるのねと思ってしまい。つまり、はてなにぱどタウナーはいないなと。ぱど厨的コミュニティとブログとかなんとかのコミュニティってかんっぺきに分断されているのだなあと思って。ぱどタウナーの人々は大人になるとどうなるんですかね?中学2年生とかもいるみたいだから、5年もすればいきがる年代ですよ。それでもぱど彼女とかナントカやってるんでしょうか。それとも思春期らしくテキストサイトとかやっちゃうんでしょうか。考えてみれば今までの年若いネットユーザーやナードでギークな人々は、年寄りのふりをしたり年若いことをさとられないようなペルソナをつけたり、あるいはそんなに若いのにスーパーハカーだなんてすごい!という受容だったのが、ぱどタウナーな人々は、既存のネット文化圏に参入することなく自分たちの共通言語を持ってネット活動をやってるわけですね。これが可能になるのはやっぱり技術とかインフラの問題なんでしょう。小中学生以前に主婦とかママのネット活動というのもこの手合いであったような気がします。既存の文化圏にとりこまれずに、自分たちのリアルな感覚をネットに持ち込んで、自分たちの文化・社会をネットという媒体を用いて複雑化させているようなあり方は、自分にはなにやら不思議な感じです。そして当然のことながらそれらの文化圏と既存の文化圏が分断されている。リアルよりもくっきりと分断されていながらそれに気づきにくい、というところが面白いですね。
ところで、はてなでギャル文字のダイアリーってあるんでしょうか?

温泉旅行記

嵐山光三郎ちくま文庫温泉旅行記 (ちくま文庫)
自分はかなり熱狂的な嵐山光三郎ファンだと思うが、そのきっかけは素人包丁記であり特に食べ物関係の文章が好きで好きでたまらない。素人包丁記の筍三昧の話は子供心を直撃したものである。というわけで嵐山光三郎の食べ物関係は外さないようにしていたが、その反面、温泉ネタはなんとなく敬遠していた。
しかし今回、本書に手を出して、ああやっぱり嵐山光三郎が好きなのだ自分は!ということを強く確信した。なんで温泉ネタ控えてたんだろ。謎だ。特に親子3人旅行の旅行記が秀逸。しんみりじわりとさせながらくすりとさせます。ご母堂と岩魚の件が面白すぎる。
ところで文人を泊めた温泉宿の話のところで、生きる近代文学史である女将について書いているけれど、嵐山光三郎自身も十分、近代文学史を生きているように思う。自分は嵐山が偲んで書く深沢七郎檀一雄のエピソードが大好きなのだが、自分にとって坂口安吾近代文学史級で、その安吾の叙述の中に友人檀一雄のことはときどきでてくるわけで、だから檀一雄近代文学史的人物と見なしていたのに、それを自分にとって現代作家である嵐山がリアルに書いている、というのはいつもくらりとくる失見当識感がある。人間の時間感覚なんていいかげんなものだ。
今のところ、自分なりの嵐山ベストは「頬っぺた落とし、う、うまい」「文士温泉放蕩録ざぶん」「文人悪食」あたりだったのだが、温泉物も今一度フォローし直さないとなあ。ただ書店店頭にあんまりないんだよね、この人。ちくま文庫はぜひ全集を出すように。