産科医のこと

最近知ってさかのぼって読んでいるはてダ。
新小児科医のつぶやき
日本では産科医が絶滅しそうな勢いですよ。産科医だけじゃなく、お医者さんそのものがなくなっちゃうかも、と暗澹たる気持ちになるのでみんな読むといい。あといつも通り、センセーショナルな報道に傾きすぎのマスコミが火に油を。オーマイニュースのような媒体はこういう風潮にこそ棹ささないと。がんばれ。
しかしながら、これまでの医療現場は徒弟制ベースの互酬関係に支えられてきたのに前提が崩れてもう大変、という構図は、決して医療業界だけじゃないように思う。大学という仕組みでは、先生がどこぞのポストに放り込んでくれるという暗黙の了解の元、大学院生が無給の労働に身をやつして科研費の研究の一部を引き受けて、教員が研究/教育/行政のバランスをとれていたわけですし、企業という仕組みでは、終身雇用年功序列が前提でやめさせらるという不安から自由な代わりに、従業員は身を粉にして大義のために働いてきたわけですし。もっといえば、隣の家に昨日の晩ご飯のメニューまで知られてて死ぬほどうざいけど、子供を路地で遊ばせてても安心だったあの頃。なにもかもが一斉に崩れだしているような気がする。
こんなよるべない時代に、自分の足で立てない/立ちにくい人が単純な暴論に糾合されていくのは当然のように思います。ああ、軍靴の足音がきこえる……、と茶化さずにはおられないurouroさんは異常。
それはともかく、総体として社会全体の方向転換がたしかにあって、その背景には戦後体制からの脱却とかアメリカ型社会へ向けた構造改革とかいろいろあるんでしょうし、すっきりした制度的枠組みができるにこしたことないとは思うんですが、医療とか教育とかって10年後良くなるから10年暗黒期だけど我慢してね!といえないのがつらいよなあ。自分自身、持病持ちで病院行きがちなので、そんなんなったらマジ困るわ。どうしよ。といっても、自分の立場でできることはする(投票とかね)+そういう時代が来たと理解して備えを厚くするの2方向で身構えるしかないなあ。まずは引き続き動向を見守ろうと思います。

 なんでみんなが働き過ぎなのか

上のはてダから辿りついた周産期医療を守るサイトにて、産科医の先生の勤務実態の例を知る。
http://plaza.umin.ac.jp/~perinate/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=%BD%B0%B1%A1%B8%FC%C0%B8%CF%AB%C6%AF%B0%D1%B0%F7%B2%F1%B1%FC%C5%C4%C0%E8%C0%B8%C8%AF%B8%C0
どこの女工哀史ですかこれは。この先生が役職者だいうことと、産科医という業種の特性を割り引いてもひどい。
でもねえ、これも不思議なんだけどねえ、社会の一部が働いててあとがさぼってるんじゃなくて、みんな働き過ぎな気がするんですよ。自分自身もなんかあほみたいに働いてるし。産科医みたいなそもそも担いうる人が少なそうな職人仕事ではなく、誰がやってもなんとかなりそうな書類仕事でありかつ組織的にもぺーぺーなのに。契約上の勤務時間は0900-1730なんだけど、平均して2000までは絶対会社にいるし、少なくとも1900までは電話もふつうにかかってくるよ。取引先からも社内からも。偉い人からもヒラからも。あほちゃう?!と思いながら18時過ぎにかかってきた電話の対応してると、宅急便が集荷に来る。今日は早く帰れたなと思って19時台に街を歩くとデパートまだ開いてる。あーおそくなったーとおもって22時台に会社でると、デパートこそ閉まってるけど住宅地の駅前には24時間生鮮食料品スーパーが絶賛営業中。大根買えるしひき肉も買えるよ。23時に家についてもらくらく自炊できるね。もう会社泊まるしかないと悲壮な決意で夜食を買いに行く24時台、至近にコンビニ3軒、牛丼屋系飯屋3軒、食料品スーパー1軒。うわあ選択肢抱負。どれにしよう。ふとみると新聞販売店はもう朝刊の準備してる。しばらくして気がつくと、もう電車走ってる。
狂ってるとしかいいようがない。世の中みんな働き過ぎチキンレースみたいになってるんじゃなかろうか。せーの、で休もうよみんな。