芥川賞/女子高生

 もう受賞発表からずいぶんたつと思うが、未だ話題なところでは話題の今回の芥川賞。要するに、そこそこカワイイ女子高生がとった!ということが話題の正体のように思う。
 受賞者のプロフィールに注目が集まるのは今までにもよくあることだが(若い、かわった職業(僧侶とか)、イケメンなどなど)、今回の話題ぶりでは「プロフィールと作品の関係」がほとんど出てこないのは不思議だ。
 たとえば金原ひとみは若くして同棲しているとか、ピアスだとか、不登校だとかキャッチーなキーワードにあふれているが、それと彼女の作品を結びつけてとか作品の内容を際立たせるアクセサリとして使われていない。
 そこで邪推。結局誰もよんでないんじゃないのか?あるいは読むべき価値がないのか?
 村上龍山田詠美石原慎太郎の受賞作は作品についても毀誉褒貶がかまびすしかったように思う。リアルタイムではないのであくまで推測であるが。ただプロフィールだけが話題になるなら、それは作者への賞であって作品への賞じゃないんじゃないだろうか。
 あと、若い/女であることがこれだけ話題になるということは、純文学というのは老いた/男のものであるということなんだろうが、小林秀雄なり太宰なり芥川その人なり、昔の文学ってものはお勉強ができるお若い方のものだったといえる。東大で文学を真剣に志す。もちろん社会に階層があって、有閑子弟がそこらにぶらぶらしていて、というような現代とは隔絶した社会状況あってのことだろうが(そういう意味では石原慎太郎はぎりぎり含まれるのか?)、第三の新人にしたってそんな年寄りではなかったわけで、いつから若者が受賞することにここまで騒がれるようになったのかなと思う。結局、書き手じゃなくて読み手が老いた/男ばかりであるということなのだろう。