[記録]バンド・ブーム・クロニクル85-87

 そういえば"遅れてきた80年代キッズ"である自分は、先日、「音楽誌が書かないJポップ批評33 バンドブームクロニクル1985-1987」(ISBN:4796637591)を購入し、ちびちびと読んでいるのであった。
 この時代は自分には前思春期にあたるので、実際に知っているバンドの話は少ない。名前やなんとなくのイメージのあるバンドの評を読み、ほーほーと思うくらいである。まさに追体験
 版型があまり好きではないので(ころがしとくのにちょっとじゃま)「音楽誌が〜」シリーズはほとんど読んでいなかったのだが、別冊宝島らしい"著者紹介が一番面白いの法則"が現存しているのをみて和んだ。
 もっともオススメの記事は掟ポルシェトランスレコード論。この2ページだけで定価の半分くらい払ってもいいかなあと思うくらいおもしろい。固有名詞をほとんど理解できない自分がおもしろかったのだから、同時代人ならさらに面白いのではないだろうか。掟ポルシェの文章芸(アクロバティックな比喩・混ざり込む妄想・ふざけてるような真面目なようなでもやっぱりふざけてるよな!と詰め寄りたくなる文体)が、奇跡的に明快で共感を誘うメッセージに着地していて、いち掟ポルシェ愛好家としても(一時期、連載を追っかけて雑誌購読してた。現在はそれほどでもない)目を見張るすばらしさである。ていうかこういう風にかけるんだったらどこでもこういう風に書けよ、と言いたい気もするのだが(もしかして「音楽誌が〜」シリーズではいつもこんな感じですか?)。
 軌道修正。愛好家とか文章芸とか抜きにしても、あのころそうだったよなー的郷愁を呼び起こす名コラムだと思う。その他では田口トモロヲMAGUMIのインタビュー、地引雄一氏の文章などが興味深かった「〜1988」は気が向いたら買います。