夏と花火と私の死体

乙一集英社文庫ISBN:4087471985
ブクオフで200円。表題作と「優子」所収。解説は小野不由美
「優子」はそんなに…だったけど、表題作はすごくよかった。しかもデビュー作か。16才か。評価が確立してから読む自分でもすごいなあと驚嘆するところがあるので、でっぱなに読んだ人が衝撃を受けるのもわかる。全体にちょっと川上弘美っぽい。ミステリというかサスペンスなんだけど、不思議系純文学の匂いがする。あ、ホラーなのかジャンル的には。
小野不由美の解説がまたよかった。初読の時の感想メモをひきながらの文章なのだけれど、真摯な小説読みなのだなあと思う。文庫の解説はときどきものすごい地雷があるけれど、この解説はデータとか批評とかを含みながらも小野不由美という小説家が描く情景の素晴らしさもあるし、自省的でもあるし、自分はのりりん好きなのでのりりんが垣間見えて単純な喜びもあるし、まあとにかく行き届いた清潔感のある解説だなあと。小説家が解説書くならこういう解説を書いて欲しいものだ。