もしセカイ系ということばで何かを語ろうとするなら

自分ならどうするか。まずことばの定義を確立するために、ことばが生まれた状況を調べる。できればオリジナルのキャッシュをさがしだす。つぎに整備されている初期の言及リンクをたどり一通りテキストを読む。この過程でできればオリジナルの誕生の頃を追いかけていた人々に個人的なコンタクトをとり、インタビューを試みる。オリジナルが出てきた状況を調査し終えたら、その時点で俎上に載せられた作品/物語を抽出し批評的に鑑賞しメモをとる。ここまででオリジナルの整理。
オリジナルの言葉が発生してからの時系列を整理し、言及が時間経過とともにどれほど増えていくかをなんとかして観測する。できればここでグラフなどで図示化する工夫を考える。観測するとともに言及しているテキストをサーベイする。時系列が整理できればいくつかの時期を仮に設け、言葉の使われ方がどう変容しているか(またはしていないか)を把握する。オリジナル発生以降に取り上げられる作品を総説し、発生時と変化しているかどうかをチェックする。
ここまではweb上でできるからそう面倒でもない(手間だけ)が、この後さらに紙メディアにどう波及したかを調べることが必要。これが面倒そうだ。つけくわえて、言及テキストがそれぞれにのっかっているコンテクストを整理して、どういう視座での論説がなされているかをひろって既存の文学論・文明論をある程度サーベイしてそれとつなげる。これはまあ序章とかイントロダクションの部分だから別になくてもいいが、筆者のスタンスを明らかにするためにはあった方がよい。最後にこれらすべてを総括してことばの使われ方を整理・定義し、なぜそのことばが広く用いられるのか、そのことばがどういう状況をとらえているかを考察する。
とまあ自分ならこういう手段でとりかかるかと。実証研究好きだからどうしてもこういうアプローチになる。リンク集が充実しているしほとんどがweb上の話なので、時間はかかるだろうが手間さえかければ1ヶ月くらい費やせばある程度カタチになるのではないだろうか。箔付けの先行研究展望が実は一番時間がかかりそうだが、それはまあ既存の権威との連絡のためだから発表手段によっては無くても全然構わない。とにかくどう考えても手間仕事だから、ネット言論から収奪して自分のロジックを組み立てて飯のタネにするならともかく、そうでないならあんまり自分でやる気はしない。とはいえお金くれたりこの業績で仕事くれるならやってもいいですが(笑。このことばだけでなくいくつか他のことば(キミとボク、儀礼的無関心などなど)に対しても同様の手法で総括しておけば、それらを連結してD論くらいになるかな。文明論とかカルスタの研究室にいればやるんだがなあ。どっちみち毎日ネットに逃避して遊んでるんだし。
追記:関連というわけでもないがこれに協力した→「はてな」利用者に対するウェブ日記・ブログ意識調査