新潮45 May.

トップ特集は「名古屋自転車通り魔女の性と生」。全紙あげての「黒い報告書」化が激しいのう。講談だと思えば面白いが、結審してない犯罪についてこういう“実録”風に描くのはどうなんだろうか。新潮45ってこういう誌面でいいのか?
櫻井よしこ猪瀬直樹批判が完結。総浚い。辛辣だが面白い。国民の一人として面白いとかいってすます問題ではないのだ!と言われれば全くその通りなんだが、そういう内容よりも櫻井の筆致がミステリのようでおもしろい。証拠をそろえてひたひたと迫っていく雰囲気である。そして随所に入る無惨な書きよう。猪瀬の印象は地に落ちるなあ。
その他の記事。「ヘンなジャーナリスト本多勝一が消した『過去』」の冒頭が、二十代後半の知人に片っ端から電話をかけて聞いてみたが本多勝一知名度がない、という語りで始まるのだが、そりゃちょっと聞いた相手がわるいんじゃないか?二十代後半でも知ってるやつは多いぞ。それはともかく、本誌の横に並んでいた鹿砦社の「スキャンダル大戦争」でも落合信彦の内実を暴く記事が似たような枕で始まっていたのを思い出す。村野まさよしの愛人話が壮絶でちょっとひく。なんだそりゃ。
連載。柳美里がないだけでなく、表紙の【強力連載陣】にもないではないか。大川豊総裁の金融ネタはタイムリーにも難民支援のカネの動き。かなり面白い。こういうのコラムじゃなくてもうちょっと大きい分量で読みたい。福田和也のおばはんネタで、中瀬ゆかり白洲正子の担当でもあったと知る。中瀬の担当歴はすごいんだなあ。めったやたらのラインナップじゃないか。
全体に面白かったけど、柳さんがいないと魅力も半減。つくづく残念でござる。