ファウストvol.4

ファウスト文芸合宿」特集号。第4号に至ってようやく理解したが趣味は近いのにセンスがまったく逆だから、自分はファウストにこんなにもいらいらするのだな。作家4人を集めて文芸合宿するとか、同一テーマで競作とか、リレー小説とかそういうアイディアは全部おもしろいと思うけれど、ものの見せ方として自分の希望は、競作やリレー小説を見せることと、これって合宿でつくったんだぜ!っていうことは一緒に見せないでほしい。読んでる頭の隅に「これって3泊4日でできたんだ」「沖縄なんだよね」みたいないらん情報がちらついてしまって、純粋に小説だけを読めない気がする。合宿のルポそのものはおもしろいと思うのだけれど、執筆の際の状況とかはあとでこっそり教えてくれればいいんだけどなあ。合宿で競作で合評会というかたちには、ノスタルジー的なあこがれを感じるのですが、中扉冒頭に「文芸合宿宣言!」と書いてしまうセンスがだめだ。あと競作小説のテーマが「上京」っていうのにもずっこけた。ゼロ年代生まれの作家を、とか煽っておいてここで「上京」かよー。もはや東京なんて遊びに行くところにすぎないんじゃないかと思うのだが。まあでも競作、リレー小説、合評会のそれぞれは面白かったです。
第二特集「ミステリーのフロントライン」はなんとうらがっさぁ〜ん登場。そして挿絵は高河ゆん。って、えぇー!? 今回の浦賀浦賀っぽくなかった。あとミステリーって感じでもない。もっと地球平面委員会みたいな感じで来るかと思ったけれど、浦賀さんにしてはイイ感じで終わりました。がゆんは言われなければ気がつかなかったかもしれないなあ。最近の絵は、こんな風なんですね。で広告によれば浦賀さん、講談社から新シリーズ出すらしいけれど、それはともかく安藤直樹ものを早く何とかしてくださいよ。待ち続けているのに。
これのために買っているといっても過言ではない編集長対談コーナーは、「新潮」の矢野優。この人選にはちょっとびっくりした。自分の中で矢野優柳美里界の人なので、ファウストで名前を見るとは思わなかったのです。セカイに編集者って5人ぐらいしかいないんじゃないかと思う時ってありますよね。内容はいままでよりはずっと普通。でもなんだかんだいって新潮社に講談社の社員なあなたたちは高所得サラリーマンですよねーとふと思った。文芸業界一般よくわからないのだが、編集者って言うのは出版社サラリーマンが一般的なんですかね、フリーの編集者っていう肩書きもよく見るような気がするけれど。ロックで反骨、しかし社員、と考えるとちょっとおもしろいな。フリーの編集者に文芸論つっかけられたりしそうだ。健保もらってるやつが大口叩くんじゃねえよ!、とか、月給もらって語れる文芸なんざねぇぜ、とか言われるわけ。対して創業者は菊池寛だよこちとらヤクザな商売だとか、漱石だって朝日に書いてたんだよ、とか言うと。よくない? 最近定収入のある職業というのにちょっとナーバスなので、つい僻みの入った感想を抱いてしまいました。まーでもあれだ、社員だったら適当にやってても収入あるわけだから、社員なのに志を高く保ちつづけるのもえらいんだ、きっと。
それにしても渡辺浩弐の存在は謎だ。