いろいろまとめて

ネムキ3月号:しましまエブリディはいいねえ。伊藤潤二のキモさについて考えさせられる。ホラー作家ということになってるけど、自分にとっては伊藤潤二は怖いというよりキモイ作品を描く人だ。あんまり怖くないと思うんだけど。
IKKI3月号:月館2回目。佐々木倫子はやっぱりいいですよねー。「←誰」っていうのがなぜか無性におかしかった。あーやがどんな原作書いて渡しているのか、非常に気になる。
新潮45 2月号:「赤い事件簿」に陰惨なものが多く、げんなりする。さかもと未明のエッセイに怒りを覚える。自分を安売りすると安い仕事しかこないから高く売るためのコーディネーターをつけたらしい。安い仕事を断って高い仕事に、鷹揚にかまえていると次第に高くなるんだそうだ。そういうことはチラシの裏に書いてろよと。未明サクセスストーリーの入り口だけ書いてどうする。オチはどこだ。しかし西原理恵子の仕事観とまったく逆のように見えるのに、西原の方がよく見る、っていうか新潮45でも連載している、っていうのはおもしろいね。
「本棚探偵の冒険」喜国雅彦本棚探偵の冒険 (双葉文庫):出版された時チョー話題になってたのが、文庫になって自分にも手に入れられるようになりました。豆本をつくったり函をつくったりするのはもちろん面白いけど、デパート古書市と本棚に本を並べる話が自分の中ではベスト。どの分野でも趣味をこじらしている人の造形ほどおもしろいものはないよね。自分は本好きだけど、この本を読んでいるとデータとしてのテキストが好きなだけで物体としての本が好きなわけじゃないなあとつくづく思った。それともこんな感慨もなにかのきっかけでひょろりとひっくり返るのだろうか。
「オーデュボンの祈り」伊坂幸太郎オーデュボンの祈り (新潮文庫)
:各所で話題の伊坂幸太郎も文庫になってようやく自分にも手に入れられるようになりました。だから貧しいとハードカバー買うのに気合いがいるんだって。どんなに評判が高くてもさあ。文庫化したのは2003年だけどな。ミステリーフェアだったので文庫化に気がついたよ。ありがとうフェアの人。このお話は、ドミノのようにぱたぱたぱたと因果が連鎖していくのがすごく面白かった。城山の造形がいやでいやでしょうがなかったけど、ちゃんといやなやつにはそれなりの結末があるのもグー。しかし解説にあった

直木賞候補にもあがった『重力ピエロ』は担当編集者が一読し、
『なんだ、小説まだまだいけるじゃん!』と知らず快哉を叫んだという

というエピソードにげんなりする。もう消えろ。おまえらほんとまとめて消えろ。快哉を叫ぶ編集者はともかくそれをいいエピソードと思ってるっぽい吉野仁よ、そしてそれをよりにもよって伊坂幸太郎の文庫の解説に書いちゃう吉野仁よ、もうほんと勘弁してください。「小説」がどうだとかそんなことどうでもいいんだよ。いい小説がありいい小説を読みたい人間が居るんだからそこにそれがとどけばみんなハッピーなのであって、「小説」の容器としての性能とかありようとかそういうことは身内だけで語り合っていてください。外に出すな。伊坂幸太郎を初めて手に取った文庫読者にいいたいことなのかそれが。読者は「小説」の未来とか可能性を感じるために読んでいるのか。ほんとに文庫の解説って意義がようわからんわ。本編読了後のすがすがしい気分がすっかり台無しでした。もっとも、このエピソードのほんの2行だけにかっかする自分がナイーブすぎてよくないけどな。