百人一首の呪

高田崇史QED 百人一首の呪 (講談社ノベルス)
出張の帰り、もう帰りの電車ではなにもしたくない!ミステリに耽溺したい!と思ったときに、駅の本屋で購入した一冊。QEDシリーズはなぜか縁がなかったので、一作目から買ってみた。高田崇史は千波くんシリーズが苦手なので敬遠意識があったのだが、思ったよりずっと面白かった。期待通りのミステリらしいミステリだった。それ以外にも、個人的に、小学校4,5,6年の3年間は百人一首大会に没頭していたので、どれだけ覚えているかチェックという意味でも楽しかった。意外に覚えてなくて悔しかったり。
しかし、やはりミステリには、事件−推理−解決の様式美が必要だと思う。とても気持ちよかった。物語的必然があれば破格もアリだと思うし、文学評論的観点から破格に何かを見出すのもアリだと思うけれど、やはり自分は本格ミステリの様式美が好きだし、一方でそれはそれとして維持されたしと思う。破格のミステリがジャンル内部で評価されなかったのに、外部の視点から評価される−というのはわかりやすくかつ相互に幸せな構図だと思うけれども、破格を生み出す母体としてジャンルがあるわけではないのだ。保守とか頑迷とか言われるかもしれないけれど、ジャンル内部ではあくまでも様式美があってこその破格だということが理解されるべきだと思う。
簡単に言うと、メタミステリ飽きた!ということなんですけどね。