クライム・ウェイブ

J・エルロイ:クライム・ウェイヴ (文春文庫)
ノンフィクションとフィクションからなる短編集。ノンフィクションが特にいい。エルロイが素晴らしいことは今さら言うまでもないが、GQ編集長による序文も素晴らしい。まあでもこれもエルロイ好きのための一冊であって、初エルロイにはお薦めしない。
エルロイは人気作家の割には翻訳者がいろいろ変わっているが、最近の文春では田村義進に定まったようだ。で、第二部、なんかおかしな言葉遣いが続き、なんじゃこれ?と思っていたら、訳者あとがきによれば原文は全文頭韻とのこと。ええーっ!と思って読み返すと、訳文もほとんど頭韻になっている。職人技だなあとびっくり。かといって“声に出して読みたい”ような内容ではないのだが。「肛門好きの高札を交換するには、この上なく好都合の日。」とかねえ。しかし自分は素朴にシナトラが好きなのだが、エルロイが描くシナトラは本当にひどいなあ。ひどすぎて爆笑してしまった。