NONFIX ナックルズ vol.2

ミリオン出版実話ナックルズからのスピンアウトA5版雑誌。これはあれですかね、ウワシンニッチ狙い雑誌の一つと思っていいんですかね(思ってるけど)。目次の体裁がウワシンっぽくてノスタルジー。vol.1もでてたことは知ってるけど買いそびれた。残念。
編集長は久田将義氏、ということはダークサイドJAPANといっしょだねと思って奥付を確認すると「編集発行人 久田将義」になっていた。この人は確か、DSJ廃刊時にウワシンで「やっぱり編集人と発行人は一緒じゃないとつっぱれないですね」みたいなことを言ってたので、その辺をどう処理したのか気になったわけです。でも独立というか自分で出版社を立ち上げたわけではなくて、ミリオン出版内にいてもこういうことができるんですか。意外だ。上述の弁を聞いた時は、あーやめて新雑誌立ち上げるのかなーと思ったんだけどな。
内容は記事部分に質のばらつきが大きいように思う。とくに巻頭の電通記事にはがっかりした。タイトルが「『世界の電通』に蔓延るスキャンダル体質」で“スクープ第一弾”と銘打たれているのに、

正直私の取材力不足もあるが、もし電通内部に関わる事件を知っている関係者がいたら、勇気を持って情報を編集部まで送って頂きたい。事件の陰で泣いている人間がいることを忘れないで欲しい。上に挙げた不祥事の数々は、氷山の一角に過ぎないことはよくわかっているつもりである。(p.14)

なんだかなあ。これだと「電通内部に関わる事件」を知らないと言ってしまっているのも同然じゃないのかと。ある意味で良心的な態度だと思うけれど、この一文がなければ、「スクープとか言う割に内容うすいな」と思ったかもしれないけれども、特に気にはならなかったと思う。余計なひとことなのではないだろうか。もっと取材しろとか決死のスクープとれとかそういうことを言いたいわけじゃない。見せ方を考えて欲しいということです。
活字プロレスの記事と芸能界のドンの記事は文章がぐらぐらして読み切れなかった。なんか最近文章ぐらぐら系のライターさん多いなー。副詞のうけとか係り結びとか読点とか、それ以前に主語述語とか、そういう文法的なきまりごとを守ってもらわないと読みづらくてかなわん。
素晴らしかったのは「太平洋戦争裏面史」。第二次大戦時の米兵捕虜処刑について、当事者が語る実に貴重な記録。雑誌に埋もれさせるの勿体ない。溝口和洋ストーリーも面白かった。あと日銀秘密資金は気になる引き。
連載。大塚英志が相変わらず上手いこというなあと。松沢呉一は風俗ライターをやめたんですか。知らなかった。豊崎由美は相やっぱり語尾がキモイ。内容はいいんだから普通に書けばいいのに、といつも思う。
トータルで見ると、内容のばらつきはともかく文章のぐらぐらがひどすぎてしんどかった。でも最近、どんな雑誌読んでもそう思うんだよねえ。ワープロ世代だから? 文章がひどいので毎回は買わないと思うけど、内容によっては面白いかもしれない。これからも気にしておこうかなと。あと「2ちゃんねる紳士が仕掛けた幻のスクープ「電車男」はヤラセだった!?」というタイトルの記事は、ネットで遊んでいる人間には肩すかしでした。この手の雑誌がネットをネタにした記事で、うなるような記事見たことないな。不思議。