斬首人の復讐

PRIMAL SCREAM マイケル・スレイド 斬首人の復讐 (文春文庫)
先に「ヘッドハンター」読んでおくんだったーー!というような内容なので、ヘッドハンターをいつか読もうと思ってる人は安易に手を出さないが吉。といっても初期三部作は絶版ジャン?と思ってたら、文春文庫でのセールスがよかったらしく、こんど復刊するんだって。それを解説で知った自分は、解説は後で読む派。がー。
中身は面白かった。「髑髏島の惨劇」が初スレイドだったけれど、それよりは気持ち悪くなかった。「ジェフェリー・ディーヴァーとならぶ「隠れ本格派」」と解説にあるけれど、その通りだと思う。エログロで気持ち悪いディーヴァーって感じ。キャラクタの造形が素晴らしいのも、信じられないくらいのご都合主義っぷりも、ディーヴァーっぽい。あと蘊蓄。今回はカナダにおける先住民問題を背景に配置してあるのだけれども、これが勉強になる。日本もアイヌに対して同じようなことやってるよな、と考えさせられた。
随所に翻訳が?と思うところがある(たとえば「単純な理屈」に「オッカムズ・レイザー」とルビがふってあるところ。普通にルビなしで本文中に「オッカムの剃刀」とするべきなのでは?)。しかし原著と対照させて読む技量があって言ってるわけではない。翻訳物を読んでて不安になるのはこういうときだなあ。