僧正殺人事件

僧正殺人事件 (創元推理文庫)

最近古典をフォローアップするワタクシなのですよ。昔、詰め込みで読んだヤツはやっぱり記憶に残ってないですね。あらためて読むと趣深い。しかしそれにしても蘊蓄めんどくさい。蘊蓄はったりは本格ミステリの常とは言え、それにしてもめんどくさい。ヴァンスに全然感情移入できないのに面白いというのは気持ちいい。でも、部長はいいですね。部長のような人材がいないと鼻持ちならないまま終わってしまうところです。
あと翻訳文体にしびれる。特に「上町」にじーんとしました。こういう文体のこういう翻訳は極めて心に響きます。子供の頃幻惑されたのはこういう翻訳だよねえと思います。新刊本屋で買ったのですが、奥付見ると85版とのこと。いやー世界にこんなに読むべき本があるというのは、この上もない喜びですね。