ST 赤の調査ファイル

今野敏講談社ノベルスISBN:4061823248
STシリーズ5冊目。「青の調査ファイル」を読んでないので一冊とばしたことになる。今回の話題は医療過誤と大学病院のゆがみと。赤の過去が明らかになる。非常に辛気くさい話。社会派というかんじ。社会派というか世の中に捌かれない悪いことがあるという話について自分は、社会というのがそういうものなのは重々承知なのだからあえてフィクションでまで読みたいとは思わないので、そう言う点でSTシリーズはいつも辛気くさい。なのになんで読めるかというとやはりキャラクタが魅力的で、それなりに勧善懲悪だからである。今回もチームの結束が高まっていい感じだ。ミステリと言うよりキャラクタ小説として面白い。

ブギーポップ ミッシング ペパーミントの魔術師

上遠野浩平電撃文庫ISBN:4840212503
ブギーポップシリーズ6冊目。アイスクリームの話。ブギーポップのいいところは、正しい少年少女小説であるところだと思う。統和機構とか世界の危機とかファンタジーな修飾に満ちているけれど、核となる内容はたとえば今作では「痛みがなければ進歩しない。痛みを取り去ることは世界の終わりだ。」というもので、成長にふさわしい内容であり決して現実から逃げ出さない。ちょっとずれるが、荒木飛呂彦ジョジョリミックスでのインタビューで少年漫画だからどうこうという工夫が語られていた。描きたいことを描いてるわけではなく、少年を相手にまわすという自負に職人魂を感じた。上遠野はそういうレーベルの特性に合わせた対応というよりは、まっすぐのベクトルを持つ話を書くのが好きなんだろうなと思うが、後付かもしれないが比較的低年齢層対象の電撃文庫というレーベルにふさわしいと思う。

四季 夏

森博嗣講談社ノベルスISBN:4061823396
四季シリーズ2冊目。森博嗣のすべFを友人が貸してくれたのはもう6年も前の夏のことか。たしか院試が終わった開放感と相まって、その後すぐに全冊(当時の最新刊は封印であった)買い揃えて読みふけったのを覚えている。S&Mシリーズには傾倒していたが、その後vシリーズはぱらぱらとしか見ていないし、講談社以外から出ているのにはほとんど手をつけていない。自分でも何が理由かはわからない。不思議だ。たぶんウェブ日記出版第一冊目まではほぼ全買いしていたのだが、ウェブ日記があまりに出版物として気持ち悪くて一気にひいたように思う。あと当時研究について鬱屈していたので、ものすごい勢いで前進する研究者森博嗣の日々を読むのがつらかった。そういう意味では、今回の四季夏もつらい。だめだめ研究の徒としては娯楽と逃避で読んでるのにここでも研究かよしかも超有能なばかりだし、というつらさ。ジャン・フィリップ・トゥーサン「テレビジョン」を読んだときもあまりに身につまされて途中で読めなくなってしまったのを思い出した。
ところで四季シリーズはSMシリーズとvシリーズを読んでいないと面白くないだろう。これら2シリーズのボーナストラックと自分はとらえている。四季 夏はすべFと赤緑黒白とつよくつながっているがそれだけでもない。このあたりのつながりぶりはセカイ系っぽいのでは?あーセカイ系の定義ってなんなんだ。一冊の本で閉じずに次々セカイをつなげていくのは、作者の創作上の意図はともかく、現象としてはえげつない購入インセンティブである。

アフタヌーン 04Apr.

げんしけん」に絶句。これからどろどろしたらおもしろいなあ。「おおきく振りかぶって」これも正しい教養小説。「リトルフォレスト」思い出話。ラディッシュ育てるのやってみたい。リトルフォレストは酒場ミモザのようになってほしいなあ。須藤真澄の読み切りがあってうれしい。「ラブやん」ほんとにくだらない素晴らしさ。「ラブロマ」最終回かと思った。「俺と悪魔のブルーズ」重厚。次が楽しみ。

ヤングマガジン 03#13

一週間遅れ。今週に限ったことではないが、「食べれません」っておもしろいなー。ヤンマガは四コマが充実していて素晴らしい。「湾岸ミッドナイト」TOKYOブローカーどうなったんだ。とはいえ湾岸だってすばらしいのだ。今回の名台詞は『意味のない言葉に意味を持たせ 目に見えるカタチだけしか見ようとしなかった‥』くらいか。今シリーズは久々に独特の女子話になりそうで期待。

美味しんぼ88 器対決!

雁屋哲花咲アキラ小学館ビッグコミックスISBN:4091864880
今回も『俺の知り合いの劇画原作者』という台詞は健在。情報産業俳句会の花尾先生はちょっと怒りすぎじゃないか。夜食自慢大会は前半の党職員の話が失われている。器対決はちょっと話をつめこみすぎでわからないことが多い。雄山は普段から料理しないのか。びっくり。あと雁哲はつまり備前が好きなだけじゃないのか。今号ではラーメンマトリックスが一番よかったが、全体に以前のテンションは明らかに落ちてきている。残念だ。

ISBNリンクの便利さ

読書記録にはできるだけISBNリンクをつけるようにしている。書名をキーワード登録するより早いからだ(それ以前に市民でないのでキーワード登録はできないと言う事情もあるが)。いや実際、簡単に自分と同じ本を読んだ人の感想を見たい、というときキーワードも使うがISBNリンクがあればシリーズ物の一冊などでも正確にたどり着けるし、アマゾンにもつながるので出版社データベースにもたどり着けるからあらすじもわかる。というわけでISBNリンクをつける記述が増えることを望みます。

セカイ系整理

下のエントリを書いてからはてなキーワードを見に行き、自分のセカイ系の理解がちょっとずれていたことに気がついた。だがはてなキーワードの「セカイ系」はあまりにも重要な情報を落としているため、釈然としない。というわけで自分で調べてみた。2004年3月1日現在のリンクである。
セカイ系、ということばはぷるにえブックマークで提唱されたのが起源のようだ。ぷるにえブックマークは見られないが、ARTIFACTでそういう記述を見つけた。
http://artifact-jp.com/mt/archives/200212/sekaikei.html
まあここをクリップしておけばそれで終わりという気もするがちょっと続けると↑に紹介されているセカイ系を巡るリンク集はこちら↓
http://homepage2.nifty.com/tproject/20030106.htm
なのだが、このリンク集を見るに結構初期にふれたところが閉鎖したり追っかけたりできなくなっているので、言葉が生まれた時の意味・意図が追いにくくなっている。で、このリンク集をまとめた方ははてなユーザーでおられるので(id:tproject)たぶんこちらを参照すればいろいろわかるのではないかと。じゃあここでやる意味ないジャン!というのはさておいて(というのもid:tporjectさんに気づいたのがかなり後だったのですでにいろいろ調べてしまって悔しいから)自分なりに自分用にメモっておく。
現在見られるところでは「セカイ系」がいちばん定義らしい定義だ。ここは惑星開発委員会、の辞典のようだがtripodがあれしたために上をたどれなくて大変苦労した。余談だが、日本のヲタweb論を語るときにtripodがあれしたときに放置されていたためにリンク切れを起こしたりウェブの大海で見失われた知は膨大だと思う。ハードによるソフトの撹乱。ウ社があれこれの話題でもそうだが、ウェブ界のインフラストラクチャであるところのサーバ、特に無料ホームページスペースについての観点からのヲタweb論をだれか論じて欲しい。
それはさておき、原典がないので推測だが、言葉の発生は2002年9月のことのようだ。で、きっかけとなったのは「ほしのこえ」と「最終兵器彼女」があげられるようだが、「ほしのこえ」は2002年2月に初公開され*1、2002年の夏にはもう世評が高くなっており、2002年8月にはもう『「ほしのこえ」とはなんだったのか、その結論』と題したトークショーが行われている*2ところをみてもすでに物語の概略は行き渡っていたのだろう。
一方、「最終兵器彼女」の連載は2000年1月からで、2002年7月からアニメ化された*3。連載の最終巻は2001年12月に出ているから*4セカイ系文脈で語られるのはアニメのほうの「最終兵器彼女」ではないか、と邪推するのだがどうだろうか。いずれにせよ、2001年の後半から2002年の前半がブームのピークで、それについて語られ出したのはその後の2002年後半からのようだ。するともう丸2年たった今、やや盛り上がっているのはなぜでしょう?東浩紀のせい、なのであろうか。というか、本当に盛り上がってるのか。はてなだけじゃないのか。しかし「ほしのこえアフタヌーンで漫画化されたし、アニメ見ないタイプの人間(自分がそうだ)にはこれからか。
ところで西尾維新も2002年デビュー(キーワード参照)。2002年はなにか特異点なのかもしれない。これ言ったモンがちなら自分が今言いましたから!許可なく使わないでクダサーイ! じゃなくて。こうやって自分の見ないアニメのフィールドから自分の見る小説のフィールドに話を無理矢理つなげるから定義が拡大して混沌とするのだ。自戒。しかし自分のようなwebで批評したがるバカにはこの手合いが多いから話がややこしくなる。感想、ではなくて、批評、あるいは論説を行いたいなら、原典に当たったり定義を確認したりすることは欠かせないはずなのに、その覚悟やその手間を省いて小耳に挟んだキーワードと自分の狭い経験からの限定された感想から論説らしきものをとかく組み立てたがる。だが擁護すれば、なぜそのようなことに手を出すかというきっかけは、アニメやオタクやゲームのガジェットから現代思想を語るという一派にある。知のファッションとしてニューアカが流行った名残だとおもうが、少なくともニューアカぶるには「ミル・プラトー」とか読まざるをえなかったのに、今回は基礎教養とされるのはゲーム/アニメ/マンガ/ライトノベルである。こりゃ真似するなっつーほうが無理でしょう。もともと蘊蓄好きなのが多いんだし、さらにマニアというやつは“俺、それ知ってる”という自慢合戦の渦中に生きるものなのだから、“基礎教養である○○を押さえている”のが重要となれば誰だって盛り上がる。さらにこの手合いのトップランナー東浩紀が「動物化するポストモダン」でオタクやヤオイといったガジェットを完全に間違えて紹介したことが大きい。あそこで東がオタクを自認する人間のもやもやとした気持ちをうまくすくい上げていれば、それを引用するだけですんだはずだ。東はオタクリサーチをつづけてもう一度、オタクが納得できる文明批評を手がけて欲しい。同時に狭い経験から妄想したがる論説気取りバカである自分などに、論説評論というものに必要な手続きを見せて欲しい。それほど広くあたらねばならないのか、それほど深く思索しなければならないのか、というプロらしきところを見せてもらえれば、論説きどったりしなくなるはずだから。などという期待はid:motidukisigeruなどを見るとやや不安になるのだが。
で、本題の「セカイ系」の定義だが、概観するに「自意識=セカイ」という人々の物語、ということかと。そう言う意味で<<キミとボク>>派とつながるわけだ。もともとの定義があいまいな上に、自分のような適当野郎が語義を拡張させたりするので本質が伝わりにくい。提唱者はさておき、論客の東浩紀さんはこういうところの定義をかちっとして放流してほしいものだ。ってもうあったら失礼。もし広く同意される定義があるならだれかウェブにアップしてください。少なくともGoogleでトップページに出てくるくらいに。あるいは原典が容易に参照できるところにあればいいなあ。
この項追記:それなりに時間かけて書いたけど、もっと簡略でわかりやすい記述を見つけた。くそー。ここにリンクはっといて終わりでよかったじゃないかと自分を責める。などという自分個人の自意識はさておき、セカイ系という言葉に感じる無数のイヤさが軽減されるので、セカイ系が否定的に気になる方は拙文などより↓をなにともお読み下さるよう。
地雷犬日記:http://diary.note.ne.jp/d/38638/_3.html

塩辛い気持ち

昼食をつくったら塩辛すぎて泣きそうである。こういう日常描写から始めるのがいいと思っているだけで本論は全く別なのだが、http://d.hatena.ne.jp/hozo/20040229#p3を読んでいて要するに自分が揶揄混じりで東浩紀といいたいのはアニメ見る人の村上隆罵倒のようなものなのだと痛感。村上隆ほど儲けてないから揶揄。あるいは村上隆は器用そうだけど東浩紀は不器用に見えるから小馬鹿にしておわる。また個人的に一番大きいのは東浩紀出世作浅田彰が書いた帯。浅田彰という文字にはなんともいえない感情を抱いているので。まあ浅田自身は噂の真相2000年4月号の田中康夫中森明夫との鼎談でそれについて結構ひどいこといっているのだが。うわしんストックをひっくり返したが出てこなかったのでまた出てきたら引用する。 
この項追記:つまり浅田彰の推薦文がなければ東浩紀に気がつかなかったろうし、東浩紀のオタク論説があまりにも現実離れしていると思いつつそんなことをいちいち指摘したくなるのも浅田彰門下だと思っていたからである、ということ。もはや当人たちは互いにそう思ってないようですけれどね。浅田−東の関係はオタク第一世代−第二世代−第三世代の関係になぞらえることができる。
今日は長く書きすぎた。

松本美香

今日のエントリが多すぎるとはわかっているが、これはだまっちゃいられない。ARTIFACTまとめ読みで知ったこのサイト
no life! no boys!: http://www.ht.sakura.ne.jp/~matsumo/index.htm
松本美香ってあなた、−4℃(まいなすよんどしー と読む)の松本美香か!爆笑Booing!で落ちまくってた−4℃の松本美香か!あのますだおかだの岡田の嫁の元相方の松本美香か!この衝撃は当時爆笑Booing!を好んで見ていた人なら共有できるはず。衝撃的。つか遠い目。ちなみにサイトの内容はジャニーズとか映画とかで予備情報がなかったらどこかのオシャレサブカルライターさんかしら?という感じである。いやびっくりしゃっくり。吉本にいたらバッファ組だよな、というのがサイトの感想。松竹のバッファ一門みたいなのをつくってくださいよ。
この項追記:オシャレライターとか言ってみたが、現時点でトップの日記の内容の半分以上は芸談なので注意。