週刊文春 04  3/25

話題の出版差し止め号。コンビニで普通に買えたが。差し止めの原因になった記事は、なぜこれで差し止めに?と思うくらいになんということのない記事。私人のプライベートだということなのだろうが、これがだめなら代議士の娘がAVっていう記事は書けないだろうなあ。
その他の記事では林真理子「野ばら」販促記事が涙を誘う。打ち切りでは、と言われるくらいに唐突な終わり方で、何の盛り上がりもなかった本当につまらない小説で、評判も悪かったようなのに、それでもこんな販促を行わなければないのか。お仕事って大変ですね。でもこの3ページ分の代金返してくれ。今週の「タンマ君」は超絶くだらない。東海林さだおは食べ物エッセイはあんなに面白いのに、「タンマ君」が全然全くこれっぽちも面白くないのはなんなんだ。以前椎名誠との対談で、週刊連載は大変だから適度に手を抜いている、と言っていたようにうろ覚えしているが、それにしても5分で思いついて15分で描いたんじゃないかと思うような力のぬけっぷり。いやー素晴らしい。

いかりやさん

ネットも新聞もテレビも見ない一週間のうちに、ちょーさんが亡くなっていたのだった。大変驚きで衝撃だった。ところで自分は最近、いかりや長介さんのことを“日本のモーガン・フリーマン”と勝手によび慣わしていたのだがどうでしょう。似てませんかね?雰囲気が。

自堕落ふたたび

ワイドショーを見ながら感想を垂れ流す。ああ自堕落って素晴らしい。緊張と緩和ですよ人生は。たまにきりきり働くと、そのあとはまあいいかなあと思って休んでしまうのだが、「死んでから休めばいい」と言われそうで困る。まあそう言われればその通りなんですが。
ていうのはさておいて、ワイドショーを見ていたら、渋谷のマンバギャルをさわやか女子高生に変身!という企画があり、興味深く見た。メイクを落としJJ風につくりかえる工程は、女子高生の武装を剥ぐという感じで、なんというか、“未開の原始人”に“近代的文化生活”を提供するような、悪趣味な趣があって面白かった。魅惑の変身!というのは使い古されたワイドショー的企画なのだが、マンバギャルをコンサバ女子風に装いかえさせるのは、単なるおもしろ企画というより、若くてきれいな顔してるのにあんな変なメイクしてやーね、という良識を作る方も見る方も共有している。なんでそんな格好なのか、その格好にどういう意味があるのか、などということはあまり想像にないようだ。同じことをどっかの“原住民”に対してやれば問題になるだろうが、女子高生では企画にして何の問題もない。当の女子高生自身も、これはこれでいいかなと思っているようであった。実に面白い。レヴィ=ストロースが女子高生の集団に入ればいいと思うな。女子高生自身の振る舞いは異民族を見るつもりで面白いし、それをワイドショーの中に落とし込んで行く過程では、大きな物語は全然うしなわれてないことがよくわかって面白い。あとまあ、男受けをねらってないとか、女子高生であることのお得さから完全に背を向けているとか、女子高生の異装はほんとに興味深い。パンクだ。ジェンダーフリーだ。動物だ。なんかこうやって話に落ちをつける癖がついてるな、しかし。

オタクのこと

どうにも腑に落ちないのは「オタク」の定義の問題なのだと思った。ゲームだろうがアニメだろうが漫画だろうが哲学だろうが政治だろうが、興味を覚えた対象に対してある一定の振る舞いを行う人はすべからく「オタク」だと思っていたのだが、そうではなくて、アニメやゲーム(それもPCゲーム)や漫画(劇画は入らないしヤンマガとかも入りにくい)への嗜好を「オタク」と言っている向きがあるのだな、つまり。で、この感覚のずれって、自分がすでに「オタク」が弾劾の時代では無かった頃に成長したからだろうか。そういやむかーし、『サラリーマンが電車の中で少年ジャンプを読んでいる日本の程度の低さ』みたいな論調があったが、それもこれも社会における漫画とかの受容が低かったからなのかね。
「オタク」とは性向や性質であって、特定の人の集団へのラベルではないと思っているので、『オタクを守れ!』とか『オタクへの理解』とか言われると、なんだかとっても不思議な気持ちになるのだな。ここでイメージしているある一定の振る舞い、というのは実は古今東西趣味の世界ではよくある振る舞いなので、自分の感覚では「あいつオタクだなー」と言う人々は江戸時代にもルネッサンスにもいると思うのだが、こうやってことばの意味を拡張させるよりも、限定的にある集団のことのみを「オタク」と呼び、特権性をもたせたりするのが戦略なのかねえ。ある一定の振る舞いを「オタク」とくくるのはわりかし便利なので、鶴屋南北ってオタだよねー(固有名詞は適当なのでつっこまないように)、とか言っちゃったりしたいのだけれど、80年代でもなんでもいいけどそこらへんの時代に突如認識された漫画やアニメに耽る集団にしか見られない特性、というのがあるのかしらん。「オタク」を同様の趣味に耽る集団とわける境目ってあるんだろうかねえ。