歴史が繰り返しているのかな

長い前置き:「セカイ系」という言葉を何かと耳にしたため、定義を確認して語意を理解しようとしたところ実は明確な定義というものは特に存在せず、各人がおもいおもいに語を使用していることがわかった。それ自体は大して問題ではないが、無数の泡沫のような語りとは別に、ある程度の権威を有している批評家がこの言葉を用いて何かを語ろうとしているようであり、なおかつその言葉にふれようとする手つきがあまりにも危ういのに驚きを覚えて、その方の名前をあげてセカイ系で何かを語ろうとすることについていろいろ書いた(中にはかなり激しい態度で反感を表している、と読める記述もある。書いた方としては数時間とはいえいろいろと流れがあるわけで、いきなり激しい態度を表していると言うよりは、最初は期待混じりだったのが激しくなっているというところに目をやって欲しいが、批判的、冷笑的といわれても仕方ないというくらいには思っている)。実際にここの中で書いたことについては、このダイアリをセカイ系で検索してもらえば読めると思う。同じような感覚を批評家に覚えた人は少なくないようで、ここと比較的似たような姿勢で批評家氏に対峙するサイトもある。その辺も、過去の記事からリンクをたどれると思う。webが保持する莫大な空間からすれば、ほんの片隅のことではあるが、氏にとっては不快な表現をする群れがあったということだ。それに対して、氏は言論人としてのご自分の評価を不当におとしめられてはかなわん、とばかりに、そのような扱いは筋違いな上に迷惑だ、という旨、発信された。↓
http://www.hirokiazuma.com/archives/000066.html
この記述はまことに隙だらけで、いろんな点からつっこめと思うだが、それについては省略する。氏自身は、まだ語っていないうちから断じるな、といいたいのかな、と解釈しておく。
ここから本題:今日、偶然に以下のようなページを見つけた。同人誌生活文化総合研究所内に収められた「小川びい東浩紀との往復メール」という文章である。
http://www.st.rim.or.jp/~nmisaki/topics/btoazuma.html
前文を引用すると

 以下に公開するメールは、hirokiazuma.comの「近況 2002.7.14」を巡って交わされたものである。  東の記述の一部分に対して、小川が事実誤認と訂正を求めたのをきっかけに、何度かメールがやりとりされた。最終的な合意には至らなかったものの、妥協案として、両者のメールをここで公開することが提案され、この形となった。これについては、東による「近況 2002.7.28」も参照してほしい。どちらの主張を支持するかは、このメールを読んだ人間にゆだねたい。  なお、メール本文については、誤字・誤記も含めて、ほぼ原文のままである。

1年と半年くらい前のことのようだが、この中で既に批評家氏はお相手から

まさに東さんの「こういうやつがいるからネットとか日記って侮られるんだよなあ」という感想を、そのまま返したい気持ちです。

と言われているのを見て、可笑しくなってしまった。この時批評家氏が批判されているあれこれはほとんど固有名詞をセカイ系に置き換えても成立するように思う。氏は不用意にものごとを扱い過ぎなのだ。しかし現代社会を生きる若者として、社会・文明批評をする以上オタクとその周辺を無視できない、とする姿勢は立派だと思うので(実際にそういう姿勢かどうかは実は知らない)、こういうことにこりごりになって現代思想の砦に帰ってしまわれても困るので、すっこんでろ!とはいわない。じゃんじゃんやってください。じゃんじゃんいちゃもんつけますが。でも、言論ってそういうもんでしょ?(実はこの往復メールを見て、氏のもう一つの悪弊は、自分がひどい目にあっている!という宣伝が好きな点なんじゃないかとも思ったが、それは事例が2つしかないのでそう思っただけ、という印象論にとどめておく。いや戦略的な問題ではなく、傷つきやすい人なだけなのかも)。
この引用は対話メールの中の一部分を自分の感覚で恣意的に抜き出したものであることを断っておくと同時に、この記述の絶対的な真偽はわからないと明記しておく。しかしどちらを支持するかは読者にゆだねる、ということで公開されているのだが、氏の公式サイトが移転したためか、発端の文章が参照できないのは残念だ。どこかにあったらご教示下さい。追記)と思ったら見つけた。http://www.hirokiazuma.com/oldinfos/diary2002.html 
とまれ、当方を批評家氏とのあれこれがらみで興味深くお読みの方にはぜひ上記引用ページを全文お読みいただきたい。なんつーか、別冊宝島リアルでよくある○○○○大研究!ってシリーズ(立花隆とか筑紫哲也とかさ)の次には氏を推したくなるなあという感想を抱いた。ある意味、前より好きになってきたよ!
さらに追記)自分はアニメは見ないので「セーラームーン」をどう分類するかという本質的なところには全く不明である。ただ議論の枠組みや外側が実に今回の話と似ているなと思った次第。とはいっても自分はメール出してないし出す気ないから向こうがテンパらなかったら類似なんぞといいださなかったのになとは思う。先様の発信でこのように周辺ネタを仕入れるようになり、不幸な情報ばかりを集めてしまって誠に残念。でもまあ新たな楽しみ方を見いだしたからいっか。