プロペラを止めた、僕の声を聞くために。

千原浩史 千原靖史 渡辺鐘YOSHIMOTO WORKSASIN:B00018H0XQ
ASIN書いても書影がないなあ。千原兄弟+元ジャリ渡辺鐘のコントDVDです。特典映像はメイキング。あと副音声で三人のしゃべりがついている。
Jrはなんでにんげんの最後の最後のところでナイーブを覆い隠さないのか、といつも思うけれど、今回も文字通り最後のコント、「お母さん」がナイーブペーソスものでした。好みの問題だからいっても仕方ないけれど、自分はナイーブがあからさまなお笑いってイカガナモノカと思ってしまうので、こういうコントを作るのも残念だしこれを最後に持ってくる構成も残念に思ってしまった。昔っからこうだから本人は信念を持ってやってるんだろうけれど。
なんでこういうのがあんまり好きじゃないかというと、ナイーブをむき出しにナイーブとして提示してみせるやり方が表現として優れているとは思えないから。このコントの中でいえば、「ダンボ君」なんかは演劇とコントがスルドク並立していてすげーと思うけれど、「お母さん」はそうじゃない。一昔前の松竹新喜劇みたい。泣けるエピソードの構成で、面白いことを交えて、泣き笑いみたいな状態になるのはあまりにもベタ。たとえば「日本の夜明け」とか、くだらないことを描いているのに観客はちょっとイイ感じになってしまうというコントを作れるのに、ベタをメインに持ってくることはないだろう、と思うのですね。徹底したお笑い表現は哀切を包含するから、ベタなことを自分からしにいかんでもええのに、と思います。というか、徹底したお笑い表現からあらたな感情を呼び起こせるコント作者だと思っているので残念です。まあ趣味の問題ですけれど。あともしかしたらそういうベタ好きな人の方がファン層なのかもしれないけど。感傷の甘さみたいなのが好きならこっちのがいいかもしれない。
などと思いあまって文句たれましたが基本的にはすべて素晴らしく、「少年と鹿と鉄骨」「久保井」「無情の儀」が特によかった。「少年〜」が一番好きだな。「久保井」はJr.のよくやるフリートークをネタに拡張した感じで、「無情〜」はある意味千原らしいシュールコント。ミュージカル(笑 場面などは往年の渡辺のキレが見られて感涙。って復活したのに往年とかいうもんじゃありませんな。「少年〜」が一番、三人の芸が見られて調和がとれてよかったなと。
特典映像のメイキングでは、もちろん稽古って大変なんでしょうけれど、なんというか稽古する三人に文化祭前日感をどことなく感じてしまい、仲良きことは美しき哉、とか、ああ2丁目時代、とかなんか勝手に思い入れたうえにほのぼのしてしまった。まあ自分が彼らを見ていた頃、ともオーバーラップしてしまうわけだが。
ところで「ムード」のJr.と渡辺は、ちょっとサバンナ高橋を彷彿とさせるな。