新潮45 04Jun.

「三人は立派に任務をこなした」まあはっきりいって羊頭狗肉ですな。タイトルだけ。渡辺さんのルポはいっつもそうなんだよね。思わせぶりだと自分は思う。でも自分は文章芸を楽しんでるから別にそれでいいんだけどね。こういう人だと思っていると別に大してなんとも思わないけど、今まで噂の真相とかでわりとリベラルがかったルポ書いてたひとが新潮45で人質叩き的(本人にそのつもりがなくてもそう利用されることは自明)な記事を書くという背景が知りたい。うわしんに書いてたのもちゃんと覚えてないのでこの項印象批判の可能性強いです。真に受けないように(2度目)。
「『奇蹟のキノコ』アガリクスの正体」大変いい記事です。こういう記事をじゃんじゃん書いて欲しい。できれば次はEMをやって欲しいな。沖縄に行くとEMのようなトンデモに県中巻き込まれているようで空恐ろしくなるから。「エリート焼肉部長は殺人鬼」今月のタイトル賞。意味不明にしてインパクト大という素晴らしいタイトルです。
柳美里の交換日記が自分は本当に本当に好きなんだなあと今月つくづく思った。岩井志麻子中村うさぎは面白いんだけれど今ひとつ好きになれない。でも柳美里にはもう夢中。この差について考えてみたけれど、自分をさらけだすといっても岩井や中村の著述は客観的な主体が書いてるのですね。彼女らは芯のところで自分の行動を醒めた突き放した目で見ている気がする。こういう突き放し系自分語りでは愚行のスケールが中途半端だとみみっちくなる。岩井とか中村の路線の先には西原理恵子がいないでもないような気がするが、西原はかなり商売人の雰囲気がする。話作ったり足したり引いたりいろいろやってんだろなと。岩井や中村は面白がらせようとはしてるんだけど、ちょっと素の自分語りが透けてるというか。そういうのってちょっと安心して消費できない。柳さんは違いますよ。没入系ですよ。この「交換日記」はほんとにすごいよ。今月号ではまたえらい転換してるし、話が。びっくりした。柳さんには客観視はないですね。思ったことを書いている。これってなかなかできないことですよ。自分のような自意識の強い人間には誰も読まないと約束されている日記か何かでも、ここまで思ったまま書けない。前にも書いたけれど、柳さんを読むときは中原中也小林秀雄の三角関係の話とかを連想する。実話にしか持ち得ない迫力がある。生きる文学史。わざわざ文学史の本探して文士スキャンダルとかハァハァ読んでるような自分には、毎月柳さんが生々しい語りを投下してくださるのが嬉しくてしかたないのです。できれば毎月載せて欲しいなあ。