遺伝子組み換えと品種改良

http://d.hatena.ne.jp/fake-jizo/20041014
ブロイラーってサラブレド級の系統保存だったのかー。知らなかった。
けれど遺伝子組み換えと品種改良はちょっと違う。優良形質を持った個体の掛け合わせと、その次世代からさらに優良な個体を選抜し次の親にすることの繰り返しで選抜育種という品種改良が行われるのだけれど、それは自然の営みの行程を人間が加速させているだけなので、まあ大丈夫だろうと。というか今の栽培品種ができるまで営々と続いてきた行為で、牛とか馬とか野生種とのプロポーションの違いによくわかる。先進高度化していて生活実感からすればぞっとするけど、原理としてはコシヒカリをつくっているのと同じ。
選抜育種は良い遺伝子が次世代に残る確率を人間の手によってあげているわけだけれど、対して良い遺伝子を直接対象生物にぶっこむのが遺伝子組み換え技術。遺伝子の実体はDNAだけど、ある生物のDNAの鎖に他の生物のDNAの鎖を遺伝し工学的手法によってぶっこむ。
遺伝子組み換え作物トップランナー、日本モンサント社のサイトの図がよくわかる。
http://www.monsanto.co.jp/data/knowledge/knowledge1.shtml
つまり選抜育種ではどんだけ頑張っても大豆なら大豆の性質の中でチューンアップされていくのが、遺伝子組み換え技術を使うと大豆に他の生物の有用遺伝子をぶっこめるわけで、これが遺伝子組換えへの不安の原因なのです。実際、モンサントがつくってる害虫耐性作物作物(トウモロコシ、大豆)はバチラスという細菌にある、ある種のタンパク質をつくる遺伝子をぶっこまれている。
http://www.monsanto.co.jp/biotech/development/insect.shtml
遺伝子組み換えへの不安ばかりが喧伝されて、遺伝子組み換えのどこが画期的で従来の品種改良と違うのかというのがあんまり広まっていないのは実に問題だねえ。
追記:厳密なことを言えば、ある種の微生物によって他の生物の遺伝子がぶっこまれることは自然界でも起こりうる。けど、だからといって現在の遺伝子組み換え技術を自然の延長というのはちょっと無理。