万物理論

グレッグ・イーガン　
ものすごく巨大で緻密なセカイ系物語だと思った。通常のセカイ系物語で主人公の身の回りと世界が直結したら、落ち着け、とか、自意識過剰、とか感じるところだけれど、こんだけの規模で展開されたらひょっとしたらひょっとするかも、と思わされる。イーガンは長編より短編の方が読みやすいと改めて思ったが、話が全然すっきりしなくて何度も何度も読み返させるところも素晴らしい。訳者が解説で謝りまくっているのが面白かったが、コレを訳すのは大変だろうなあ。気にせず、しかし可及的速やかに次のもお願いします。
ネタバレ込みで少し続けると

「宇宙の法則」が既に存在していてそれを発見するという考え方がなんかぴんとこない。中谷宇吉郎先生の御本には、自然の法則というのがどこかに埋まっているわけではなくて、今の事象をうまく説明するためにはどうすればいいのかが科学だとあって、ずっとそれを信じているので、どこかにあり、知られれば世界の様相を変える理論っていうのがうまくイメージできなかった。うーん。やっぱりもう何度か読まないとわからないかも。物理一辺倒ではなく、最後の方、情報をひっつけてあるのは、そういう意味でも納得がいくと思った。