移民の話

切込隊長blogのちょっとまえの記事に、「第3次出入国管理基本計画に関する意見募集」というパブコメについてふれたものがある。
http://kiri.jblog.org/archives/001405.html
で、「文化的一体化」のくだりから沖縄人を連想した。最近、琉球史についてちょっと興味を持っているのだが、やっぱりどう考えても沖縄はことばが通じて文字が同じな異国なんだよねえ。安価な労働者としての移民、移民のコロニー化による文化的隔絶、このあたりは沖縄人の集団就職ですでに生じた事象なんだよねえ。登川誠仁の伝記を読んでいたら、竹中労琉球民謡の歌手を呼んで東京で琉球フェスティバルをやったときに、沖縄から働きに来ている従業員に里心がつくと困るという理由で外出を許可しなかった企業があるという記述がある。これってもろに移民の労働者って感じのあつかいだと思うんだよね。
沖縄は柳田もいってるようにふるーい日本の文化は残っているけど、そのあと独自の主権国家が産まれ、でも幕藩体制下で日本に支配され、明治維新で無理矢理日本に編入され、大戦後はアメリカに占領されと非常に複雑な歴史的経緯をもつがゆえに、日本だとも日本でないともいいがたいように思う。でもなんとなく「単一民族」っぽく自認している人が多い日本の中で、唯一顕在化しているエスニックグループというのは沖縄人なんじゃないかしら。年配の沖縄人には内地で差別されたとか見下された覚えがあるという人もいるし、一方でその特異性は観光資源になったり、「沖縄出身アーティスト」というくくりで憧れのまなざしで見られたりとポジティブにも働いている。
なんちゅーか、日本の多民族化を考える上で、沖縄ってなんなんだろうっていうことをもうちょっと考えてもいいんじゃないかなと思った。沖縄県における内地資本による文化侵略はどんどん進んでいる気がするけど、それはむしろ日本全体の均一化というか東京発信文化の浸透の問題と捉えるべきかもしれないのだろうけど、そんなこといったら内地におけるアメリカ資本による文化侵略だってひどいじゃん、という気もする。まー現代において異文化交流のない地域なんて地球上にほぼありえないのだけれど。