週刊文春 6/30号

若貴特集とか羊頭狗肉の清原記事とか記事部分は面白かった。しかし気になったのはそこじゃない。竹内久美子だ。なんと愛子たん即位にY染色体論からコメントしている。全文引用したいくらいだがそれはちょっとあれなうえに手間も多いので止しておくが、もうなんかこうものすごい記事だからだれかなんとかしてください。

日本の皇室が名実ともに世界一長い歴史を持っていることは確かです(略)。しかもそれは、ほとんど同じYでつながっているという奇跡に近い出来事なのです。
(中略)
その人類の宝とでも言うべき日本の皇室が、これまた世界遺産に登録されてもいいくらいの伝統のYを、今、手放すかどうかの岐路に立っている−。
私は、愛子さま皇位に就かれることにまったく異論がありません。ただ、将来結婚される相手の男性となると、それは旧宮家など、千数百年間受け継がれてきた皇室タイプのYを持った方であるべきではないでしょうか。

Y染色体は遺伝子をほとんど持っていないとか、主として性決定の役割しか担っていないと考えられているとか、そういうツッコミを入れたくなったり。日本の皇室が世界一長いィィィっていうのにも釈然としない思いがするのだが。このあとはこうつづく。

愛子さまにも当然、相手選びの自由があると考えます。けれども、何より皇室の一員であられる以上、その勤めとして伝統のYを、旧宮家などの男子を介して次代に伝えていただきたいのです。過去の女帝達がすべてそうした中継ぎ役を果たしてきたように。女帝の問題に単なる男女平等論を持ち込むのは間違っています。

そうですか皇族の仕事は「伝統のY」運搬だけですか。それはまあでもこれまでの彼女の論説と合致しているな。肉体は遺伝子の乗り物、なんだから「皇室タイプY」とやらはナイスな乗り物をゲットしたということなのかしら。
本文ではここから話は急展開する。源義経は奥州で種馬状態にあり、貴種をほしがる豪族の娘に種付けしまくったらしいという「司馬遼太郎さんの本」からえたエピソードをもとに、東北地方には清和天皇系Yである皇室タイプのYが多いのではないかと推測する。同様のことは日本全国でありうると考えられる。というわけで、

そこでどうでしょう。全国一斉のY染色体調査を行ってみるというのは?
(中略)
そして将来、愛子さまには全国調査の結果わかった、皇室タイプのYを持った男子の中から、人格に優れ、愛子さまを愛し、むろん愛子さまも愛する男子を選んでいただくのです。
旧宮家というような狭い範囲からお選びいただくよりは、よほどよい解決法ではないかと思うのですが。

これが〆。単なる伝統墨守派とは一線を画す、竹内久美子らしいラディカルな結論にめまいがする。個人の人格や生活より遺伝的形質を第一義にするのは相変わらずだなあ。これが優生学思想でなくてなんだというのか。竹内久美子に対するそういう批判は世間に満ちあふれているので今さら繰り返さないが。
竹内久美子についてよくわからないのは、どれだけ本気でやってるのかということだ。心の底からこういうふうに考えてるわけなのか、受けを狙ってやってるのか。しかも従来の科学を枕にした優生学チックなネタっぽい文章だけならまだしも、皇位継承というナーバスな問題にコメントするのはどういうことなんだろう。不思議で仕方ない。