センス・オブ・ワンダー

派生話題。「巨人たちの星」の奥付確認したら38刷だった。それだけのことはある。あと訳者解説で、「ホーガンは1941年生まれという若い作家」とあるのが時代を感じさせる。定年だよもう。ちなみに「星を継ぐもの」所収の鏡明解説は、これもまたすばらしいので、そこだけでも読むといいと思う。
それにしても「センス・オブ・ワンダー(ぷ」とかつい言ってしまう今の世代は不幸だとつくづく思った。大きな物語が崩壊し、よるべなく自我を築く現代なのかもしれないけど、「センス・オブ・ワンダー」はもっとまっすぐ受け止められてしかるべきだ。いたずらに「(ぷ」とか嗤うのは不幸なだけだと思う。インターネットの特性を利用した陰口文化は、とかく物事を斜に見ることを促しがちだけれども、あえて斜に構えるのではなく、まっこうから感動したりわくわくしたりする気持ちは生きていく上で不可欠だし、失えば不幸だ。
それは倫理も道徳も同じことかも。インターネットの自由な言論空間は、あらゆる視点からのオプションを用意し、自分のスタンスを相対的に確認したり、検証したりすることには役立つのであって、すべてのものを揶揄して回ってひきずりおろしておしまい、というわけではないだろう。すべてを斜に構えて終わらせるのは、それこそまさに中二病
もっとも、みんながみんな自分の見識を開陳しているわけではない。インターネットにはできることもあればできないこともある。ただそれだけであってそれ以上でも以下でもない。確たる自分があって表現型として揶揄を繰り出す人につられて、胸に期するものもないつくりのかんたんな人が、陰口空間としてのみここを盛り上げるというのは、なんともいえないIT革命ですなあ。